2025年12月15日 中井広恵女流六段による指導対局イベント

山本将棋教室の月曜日教室は、夕方からの小さな教室です。
開講してまだ2年ほどで、将棋を始めたばかりの小さい子も多く、家族のようにわいわいとした雰囲気の中、いつも楽しく活動しています。
そのため、これまでなかなかプロの先生をお呼びできる環境ではありませんでした。

そんな中で、中井先生がそのことをすべて承知のうえで、今回ご指導に来てくださると聞き、教室のみんなはわくわくしながらこの日を待っていました。

中井先生は、私にとって尊敬してやまない、憧れの先生です。
私と同世代で、親御様のもとを離れて上京し、小学生のころから厳しいプロの世界に身を置いてこられました。

つまり、みんなと同じくらいの年には、一人でお家を離れてプロになっていらっしゃったということです。

勝負の世界で何十年も第一線で活躍し続け、三人のお子様を育てられ、今ではお孫様もいらっしゃる。
それでもなお現役でご活躍されている姿には、言葉にできないほどの重みがあります。

10年近く前になるでしょうか。
私は中井先生に、「プロの先生は、どんな気持ちで日々を過ごしていらっしゃるのですか」と、お聞きしたことがあります。
そのとき先生は、「たとえて言うなら、大学受験の2週間前くらいの状態が、ずっと続いているような感じ」と教えてくださいました。

その言葉は、今でも強く心に残っています。
同じ地域に住み、同じ時代を生き、同じ時間を与えられているにもかかわらず、自分はずいぶんと雑に、無駄に生きているのではないかと思いました。

中井先生のお姿を見ていると、
「私もまだ、やれることがあるかもしれない」
そういう気持ちになります。

私の教室は、私自身が女性ということもあり、女の子が多く集まる教室です。
私はよく、この子たちに中井先生のお話をします。
それを聞いて、「自分もできるかも」と思ってくれたらと願っています。

中井先生のご指導を拝見していると、いつもご主人である植山七段のことも思い出します。
お二人は、どこかそっくりだなと感じることがあります。

それは、教えている子どもたちよりも、少し低い目線で向き合ってくださることです。

その姿に、私は毎回、はっとさせられます。
子どもたちも、きっと自然と安心し、うれしい気持ちになるのだと思います。

勉強量などは、とても真似できません。
けれど、「素敵だな」と感じた姿勢や向き合い方は、私にも真似できる。
そう思いながら、日々の教室運営に取り入れています。
中井先生の姿から学ばせていただいたことを、子どもたちへとつないでいけたらと思います。

2025年12月15日 中井広恵女流六段指導対局